古民家の割合が
全国で一番多い島根県
このプロジェクトが生まれた島根県は、日本最古の歴史書“古事記”(712年)の中で神話の舞台として登場します。神話にまつわる祭りや文化が現代の暮らしに色濃く残り、今も“神々の国”と呼ばれ、日本の精神文化を語るうえで欠かすことのできない地域です。
その島根県には、日本文化の技術の結晶である伝統工法でつくられた“古民家”が数多く現存し、日本の原風景ともいえる町並みが今もなお残されています。
総住宅数に対する古民家数の割合
古民家とは
当サイトでは、「金物を使用せず、木と木を組み上げて建てられた戦前の建物」を古民家の定義としています。多様な自然素材を使い、素材の不揃いさも活かし切る高度な知恵と工夫から、自然と共生する日本独自の価値観を見ることができます。
ハイグレードな古民家が
数多く残る理由
近代化前の島根県は、日本の北側の航路を利用する貿易船の重要な寄港地で、銀や銅、鉄の産地であったことから、多くの人で賑わいました。特に銀は、日本最大級の石見銀山があり、最盛期には世界で流通する銀の約3分の1を日本の銀が占め、その多くが島根で産出されたと考えられています。
廻船業と鉱業によって豊かな暮らしを築いたこの町も、明治以降の急激な産業構造の転換に飲み込まれ、近代化の波から取り残され、現代に至っています。今もこの地に残る質の高い建築物から、その繁栄の姿をうかがい知ることができます。
人口減少とともに
消えゆく古民家
今、日本では人口減少によって年々増加する空き家が、倒壊の危険や町の景観を害するなど、喫緊の社会課題として取り組まれています。その増加する空き家には古民家も数多く含まれています。
天然素材で造られた古民家は、空き家化すると一気に劣化が進むため、解体されて廃棄(焼却処分)されるか、その場で朽ちて土に還ってしまいます。実際、島根県の古民家はこの20年間で41%も減少しており、より早い対応が必要とされています。