“解く‐TOKU”とは何か
島根県では、家を解体することを「解く」と言います。その言葉のとおり日本の伝統的な建築は、金物を使用せず、木と木をパズルのように組むことで建てられているため、それを解いてもう一度立て直すことが可能な《循環型建築》でした。
この日本独自の建築技術も近代化による急速な暮らしの変化により、解いて使い続けるという価値観そのものが失われてきました。さらに人口減少にともない古民家も空き家化が進み、その技術の継承も途絶えつつあります。
このプロジェクトでは、《循環型建築》を象徴する言葉《解く》をプロジェクト名とし、“伝統的な建築物”とそこにある日本の“価値観”を守ると同時に、技術の循環を取り戻し、地域の発展につなげることを目的として立ち上げました。
PROJECT TOKU
なぜ、解いて使えるのか?
釘をつかわず楔(くさび)を使い、パズルのように組み合わせてつくられる。
日本の伝統的な建築技術では、楔(くさび)で木材と木材を結合させ、パズルのように組み立てることで、全体が固定されています。そのため、クギを使用した技法のように木材を痛めることなく、解いて再利用することができます。
また、大きな梁などは、自然なカタチをそのまま用いられている特徴があるため、希少価値の高い大型資材が眠っています。
循環を取り戻すためのサービス
空き家となった古民家の状態に合わせて、2つのサービスをつくり、素材と技術が循環する仕組みづくりを進めます。
❶朽ちて家として使えない古民家
再利用できない古民家から、希少価値の高い木材や建築パーツを救い出しています。木材は建材、もしくは家具に加工し、移築・改修の際に積極的に活用。 さらに、必要とする方とのマッチングサービスを行っています。
❷再利用できる古民家
再利用可能な古民家の情報を集め、「空き家データバンク」をつくり、日本文化に興味のある方々に広く情報を提供し、移築・改修してご利用いただけるサービスを行っています。
Mission
3つの観点から循環型建築の循環を取り戻し
日本文化を次世代につなぎます。
1.伝統的建築物を救う
本来、伝統的建築物は現地で活用されるべきですが、引き取り手がなく、朽ちてなくなってしまう現状から救うために、解くことで改修・移築、素材として活用し、文化財としての保存を優先します。
2.伝統技術と価値観を継承
日本では、伝統的建築の消滅と同時に、その建築を維持する技術はもちろんのこと、新しくつくり出す技術、さらに、その背景にある価値観も消えつつあります。私たちは、建築物の再活用を通じて伝統技術を用いる機会を創出し、その技術と価値観を継承します。
3.地域活性化への貢献と街並みの維持・発展
空き家の資源化を通じて地域に仕事を産み出し、地域活性化に貢献します。魅力的な「職」を創り出し、若者を地域に根付かせることこそが、現在ある集落や街並みを維持させることとなり、本当の意味での日本文化の継承と発展となります。